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腹腔鏡手術

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腹腔鏡手術

腹腔鏡手術とは細い内視鏡を体に挿入することによりお腹を開けずに行う手術のことです。
腹腔鏡手術とは細い内視鏡を体に挿入することによりお腹を開けずに行う手術のことです。人の医療では近年多くの手術において腹腔鏡手術が選択されるようになりました。なぜか?それは手術後の痛みが開腹手術と比べて圧倒的に少ないからです。

動物病院でも訓練を受けた獣医師が腹腔鏡を用いて手術を行うようになってきました。バーニー動物病院でもここ数年一部の手術を腹腔鏡手術を行っています。ご自身が腹腔鏡手術を経験された飼い主様はペットの手術時にも迷わず腹腔鏡手術を選択されています。私が楽だったからこの子にも痛くない方で!と…

避妊手術

避妊手術(卵巣子宮全摘出術)は動物病院においてより一般的な手術です。不必要な妊娠を避ける、卵巣や子宮の病気を予防する、乳がんの発生リスクを軽減するなどの目的で行います。一般には手術は開腹手術により行われ腹部に5から10センチ程度の切開創ができます。

腹腔鏡手術ではより小さな傷(3〜5ミリの傷3カ所)から特殊なカメラや鉗子を挿入してモニターを見ながら手術を行います。開腹しないため術後の癒着も少なく、術中も臓器を体外に引っぱり出す事がないため痛みが少なくてすみます。

術後の回復も早いため通常手術当日に自宅に帰ることができます。開腹による避妊手術と比較してペットにとって肉体的にも精神的にも負担の少ない手術法と考えられます。

特殊な器具を使用して手術を行いますので費用は通常の開腹手術と比較して若干高くなりますが、近年当院にて避妊手術を行う患者さんの多くが腹腔鏡手術を選択されています。

極度の肥満である場合、子宮や卵巣が腫大するような疾患をすでに患っている場合などは安全性を考慮して開腹手術をお勧めする場合もあります。

 


腹腔内陰睾

出生時には腹腔内に存在する精巣は出生後30日以内に下降して陰嚢内に収まります。下降が正常に行われずに陰嚢内にあるはずの精巣が腹腔内や鼠径部に存在することを陰睾といいます。陰睾は陰嚢内にある精巣と比較して腫瘍化するリスクが高いため外科的に摘出する必要があります。

鼠径部に存在する場合は皮膚切開のみで摘出可能ですが腹腔内に存在する場合は通常開腹手術が必要となります。腹腔鏡を使用すると開腹手術せずに2ヶ所の小さな傷で腹腔内にある精巣を摘出することができます。

組織生検

血液検査で肝酵素の上昇が認められたが原因が特定できない、慢性の消化管障害があるため腸の全層生検を行いたい、膵炎の確定診断をとりたいなど組織病理学的検査を実施したい時に開腹せず腹腔鏡下で実施できる場合があります。超音波検査下での組織生検と比較して生検直後の出血を目視できる、比較的大きな検体が得られるなどのメリットがあります。

膀胱結石摘出

膀胱結石は膀胱内に様々な種類の結石は出来る比較的よく認められる泌尿器系のトラブルで慢性的な血尿、膀胱炎、尿道閉塞などを引き起こす疾患です。通常は開腹下で膀胱を切開して膀胱内の結石を取り出します。当院では雌犬の場合は結石が比較的小さい場合は尿道から膀胱鏡を挿入することによって全く切開することなく結石を取り出すことができます。雄犬や比較的大きな結石が存在する場合は腹腔鏡を併用することで比較的小さな切開創で結石摘出が行えるとともに膀胱内に残存する複数の小さな結石を目視しながら取り残すことなく摘出可能です。

胆嚢切除

近年犬の胆嚢疾患は増加傾向にあります。主な胆嚢疾患は胆嚢炎、胆嚢粘液嚢腫、胆石症などですが、特に胆嚢粘液嚢腫は何らかの原因で胆嚢内にゼリー状の粘液状物質が貯留した状態で、胆汁の排出障害を引き起こすために様々な消化器症状を引き起こし状態が進行すると黄疸や胆嚢破裂に伴う腹膜炎などの重篤な合併症が発生する可能性があります。

基本的には低脂肪高繊維食による食事療法、胆汁の分泌や排泄を促進する薬剤を使用する内科治療で管理しますが改善が見られずより重篤化した場合は外科的に胆嚢を切除するケースもあります。人においては胆石症に対する外科手術のほとんどは腹腔鏡下で行われていますが、近年犬の粘液嚢腫の伴う胆嚢切除にも腹腔鏡が用いられることが増えてきました。